海外証券会社でFXをされている方であれば、FXFair(旧FXBeyond)をご存知の方もおられるでしょう。入金ボーナスキャンペーンをすることも多く、一部には人気もあった証券会社ですが、2023年の夏に大規模な出金遅延・出金拒否問題が発生しました。そして実質的にそれ以後、証券会社としてまともにサービス提供を行うことができなくなり停止しています。
そんなFXFairの出金拒否騒動について、これまでどういう経緯があったのか?そして2024年の半ばも過ぎた現在どうなっているのか?返金の可能性はあるのか?について、実際FXFairで取引もしていた一ユーザとしてお伝えします。
FXFairの出金遅延・出金拒否は何故起きたのか?
AssassinFX事件との関連があったのか
FXFairの出金拒否騒動が起きたのは、2023年7月末〜8月上旬頃ですが、それに先立ってAssassinFX事件と関連しているのでは?と言われています。
AssassinFX事件というのは、2023年7月3日夜に新興の海外証券会社である「AssassinFX」にて、コピトレ等で不自然なトレードによるロスカットが多発した事件のこと。
当然ながら出金も出来なくなりサービス停止になってしまいました。たった一晩ですが、突然ロットを10倍以上上げたトレードで損失を膨らましてロスカットに追い込んだような状況だったので、ポンジスキームでは?と言われています。
実はこのAssassinFXのサーバーのIPアドレスがFXFairのサーバと同じであることが判明し、実質的に両社は同じ運営元ではないかという疑惑が投資家やトレーダーの間で広がりました。
これについてはFXFair側はAssassinFXにサーバの利用を許可していただけで関係はない旨の声明を出していましたが、本当のところは分かっていません。
ただしこの疑惑によってトレーダーの間に警戒心が広がったのは確かです。
豪華なボーナスキャンペーンが多かった
FXFairは度々入金ボーナスやトレードボーナスなどのキャンペーン等を展開していて、新規顧客を引き付けてきました。
例えば2021年〜2022年初頭ころには、「入金100%ボーナス」等も度々行われてました。これは10万円入金すれば、まるまる10万円の入金ボーナスがつくもの。他にも入金50%ボーナス等、FXFairでは比較的高額な還元になる入金ボーナスは良く行っていました。
ボーナスそのものは出金できませんが、ボーナスを使った取引で得た利益は出金できるため、入金額の50%や100%といった大きめのボーナスがつくというのは、かなり太っ腹でしたね。
それでFXFairの顧客が大きく増加していった一面はあると思いますが、そうしたボーナス戦略がFXFairの財務状況を悪化させる一因となったことは十分想像できます。
それでなくても、前記のAssassinFX事件が7月初旬に発生したことから、(FXFairが関係していたかどうかは不明ながらも)先行きが不安になったFXFairユーザの投資家が、資金の出金に殺到していたのではないでしょうか。
しかしFXFairでは、7月末以降の出金遅延・出金拒否騒動が発生するほとんど直前まで、ボーナスキャンペーンを度々行っていました。
これも後から考えてみれば、特にAssassinFX事件以後、急速に資金難に陥った可能性も高かった中、ボーナスを餌に新規顧客を獲得しようとしていたわけで、これはSNS等でも悪質だと批判が高まっていました。
FXFairから出金されなくなった!?
FXFairの出金が遅くなりだした
FXFairはもともとは海外証券会社としては出金が比較的早いことで知られた証券会社でした。2021年〜2022年くらいは即日・翌営業日に着金することも普通でしたね。
ところが、徐々に出金に日数がかかるようになり、2023年に入ると出金が少し遅くなることも度々発生。FXFairの公式には5営業日以内に出金となっていましたが、出金申請してぎりぎり5営業日で着金される事象が急増しました。
とは言え、それでもルール通りに出金されていたことには変わらないので、その時点では問題ありません。ただ、もともと出金が早いブローカーだっただけに、「おかしい?」と思う人もいたようです。
その後、FXFairでは一時的に出金に伴う速度も改善しました。でもそれも一時的。2023年になると出金が早いときもあったものの、月によってはまた遅くなったり…というのを繰り返していた状態ですね。破綻する半年以上前から兆候はあったのかな?という気もします。
それでも2023年7月上旬くらいまでは5営業日以内以内に出金はされていました。
2023年7月末〜8月初旬以降出金できない状況
決定的にトラブルになったのが、2023年7月末〜8月上旬頃にかけてです。
この時期あたりからX(旧Twitter)上でも
「FXFairから出金されない!」
というポストが頻発しました。また8月上旬には、PAMMのユーザの出金が大量に発生していたようで、それもFXFairの資金繰りに大きく影響を与えていた可能性はあります。
FXFairから分割出金の告知と実質的な営業停止
そうした中、2023年8月15日、FXFairは出金までの日数を25営業日に延長すると発表。流動性不足、システムトラブル等を原因にあげてましたが、どこまで本当のことを言っていたかは不明で、実際のところ財務状況が逼迫していたのは間違いないでしょう。
当然ながらFXFairのこの発表により、ユーザーの不信感が爆増しました。
そして2023年9月初旬にFXFairは正式な案内をホームページとメールで出しました。要約すれば、全額での出金はできないため、仮想通貨で分割出金を行うと告知。それも全額を分割するわけではありません。理解しずらい複雑な計算式で巧妙に残高金額を減らされた上で、さらに日本円での出金ではなく暗号資産(USDT)での分割出金です。
そしてFXFairでは、全員に「本人確認書類の提出」を求めました。
出金を諦めるユーザも続出
これに対して、トレーダーの中には、指示通り本人確認書類を提出するユーザも多かったと思いますが、反面、「何で本人確認書類を再度提出する必要があるの?」と不満に思うユーザも多く、提出しない選択をした方も多かったようです。
こんな出金トラブルを起こした状態の中で、今更本人確認書類の提出を求められても、FXFairが何に使うかわからないですし、お金が戻ってくる保障もありません。
実際に不正をしているユーザもいたとは思いますし、そうしたユーザを排除したい証券会社側の意向もわからなくはないですが、早く返金してほしいユーザからしたら個人情報を要求することには納得いかないでしょうし、不安に思う気持ちは良く分かりますね。
MT4・MT5も使用停止
またFXFairの出金拒否騒動がおきて1ヶ月もしない2023年8月にはMetaQuotes社からもMT4・MT5のを利用を停止させられてしまいました。
もうこれで決定的ですね。実質取引ツール自体も使えないことから、完全に取引不可という状況になりました。
FXFairの分割出金は実際行われたのか?
分割出金の発表後、本人確認書類を提出した人には、2023年10月11日、暗号資産USDTで「20.13USDT」、日本円に換算すれば3000円程度だけ出金されました。
たった3000円程度?
とりあえず返金処理はありました。ただ日本円にてたった3000円程度です。これには呆れた方も多かったのではないでしょうか。
少しでも返ってきたから良かったという意見も中にはありましたが、さすがに円に換金するまでの仮想通貨の変換手数料等も考えれば、金額が少なすぎて話にならないでしょう。
しかも返金があったのはその1回きりであり、その後の分割出金は今日(2024年7月上旬)にいたるまで一度もありません。
多くのトレーダーは、こうした現状に大きな不満を抱いていますし、「とりあえず1回だけでも少額だけ返金し対応した実績を作った上で、逃げるつもりでは?」という怒りの意見もSNS等でも頻発してましたね。
一度だけFXFairから全体お知らせがあった
その後の状況を見ると、2024年1月9日頃に1通だけメールで案内というかお知らせが来ました。
しかし具体的な返金方針やアクションは何もなく、「とりあえず送りました」というところでしょうか。
FXFairの現在の状況
FXFairの出金拒否騒動がどうなったのか?と言えば、この記事を書いている現在(2024年7月上旬)、何も進展はありません。
FXFairはサービス停止状態・使用不可状態であり、2023年7月末以降、出金不可状態になってからは一部のユーザに3000円程度(仮想通貨の)返金があったのみで、その後の返金は一切無し。2024年1月に一度だけかたちだけのアナウンスがありましたが、その後何もアクションが無く、音沙汰無しが続いています。
2024年7月現在、FXFairの公式サイトは残ってはいます。ただカスタマーサポートも全く機能していません。
顧客の中には法的手段を講じて資金の回収を試みているということも伝え聞きますが、何か進展があったという話は聞かないですね。
FXFairは詐欺だったのか?返金は?
FXFairは詐欺だったのか?となると、結果を見ればそうと言えます。
FXFairは分割保全している体にはなっていましたが、結局のところ返金できてないので「分割保全は違う」という状況です。破綻状況になってからはパフォーマンス的な少額返金1回のみで、その後は何もしていないのですからね。まとまなアナウンスもない状態なので、出金される可能性(返金される可能性)は限りなく低いと言わざるを得ません。
FXFair自体は、投資詐欺でよくあるポンジスキームのように最初から詐欺を働くつもりは無かったと推察しますし、多少、風評被害を被ったことで資金繰りの急激な悪化を招いたという一面もあるかもしれません。
とは言え、無理なボーナスキャンペーンを繰り返したことや、風評被害というならその対策を取ったのか?というと疑問ですし、FX取引のために入れていたお金が返ってこない数多くの投資家達のことを思えば、不誠実な運営姿勢は許容できることではないですね。
やはりFX取引で海外証券会社を利用するなら、評判の良い安全な証券会社で行うべき。ボーナスだけで判断しない方が良いです。
信頼のある海外証券会社なら「XM」一択ですね。
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